パァンッ───!!!


2人の盾になるように、腹に1発食らったのは俺で。



「ぐ…ッ!!」


「絃織さん…!!」


「な…ぎ…?」



あぁ、やべえ…、目がくらむ。


こんなの罪滅ぼしになるかは分からない。

今までの天道の痛みに比べたら小さなものかもしれない。


でもお前は絃の、友達なんだ。



『絃……!!お友達、たくさん作れ…!』



せっかくできた友達まで目の前で傷つけるわけにはいかねえだろ。



「那岐……っ!!!」


「…俺が、…まもる…、お前、だけは……ぜっ、たいに、」


「なぎっ、…なぎ…!!」



いつか離れるときが来ても、お前だけは守ると誓ったんだ。

お前を守るために俺は幹部まで上り詰めた。


それはぜんぶ、我慢なんかじゃない。


お前の存在は1人の少年にとってどれだけ温かくて優しいものだったか。

あのとき初めて腕に抱いた感覚は、今だって忘れてない。



『───…笑ってる。おやっさん、この子、俺に笑いかけてくれてる…、』



その眼差しは同情ではなく。

軽蔑のものでもなく、大罪人の息子を見るものでもなく。


その腕に抱かれ、安心を見つけ、そして共に生きようとしてくれている、ただそれだけだった。


俺に生きていい理由と、命を与えてくれたのだ。




『いと、…お前は絃だよ、絃っていうんだよ』




俺とお前を繋いでくれる絃─いと─。