普段あまり話さない寡黙な組員でさえ驚きを隠せられないようで、ガタッと立ち上がった。

しかしまずは話を聞かなければどうすることもできない。


しばらくすると、パソコン画面に映ったモニターに大人数の男たちがぞろぞろ集まって来た。



「ほら来た。これ、今いる龍牙組の全員」



陽太の凄さとやらを初めて見たかもしれない。

ハッキングって、ここまでできちゃうんだ…。



「このまま何もしなかったら全部がパーだよ、お頭さん」



陽太のあっけらかんとした問いかけだけが宙に浮いていた。



「お頭っ!!すぐに向かいましょう!!」


「全員出動できるか」


「「「はいっ!!」」」



ぞろぞろと出ていく男たち。
車を準備し、大人数で倉庫へ向かってゆく。

そこに下っぱも加わって、俊吾ももちろん真っ先に飛び出して行く勢いだ。


組長がいない天鬼組───それが逆に周りの極道グループに目を付けられているらしい。



「おやっさんはここにいたほうがいいです。俊吾、移動しながら他へ伝達も頼めるか」


「え、…はいっす!!」



那岐のそんな決断に組員は首を傾げているが、今はそれどころじゃない。

とうとう広間にはお父さん、那岐、私と雅美さんのみとなってしまった。


そして───陽太。