「……私も、その、好きよ」


ボソッと、ほんの少しだけ恥を捨てて想いを伝えた。
恥ずかしすぎて目も合わせられなかったけど……足を踏まずに、逃げずに向き合ったんだから許してよね。

と、そうは思うけども、それで満足するはずもないことはよくわかっていて……

「え?聞こえないなぁ?」

なんて、とぼけてもう一度言うように促す始末。

はいはい!そう言うと思ってましたよ!!
と素直になれない自分も悪いと思いつつも、逆ギレしそうになってしまった。

ん?もう1回言ってみ?
と、顔を覗きこまれそうになり、これ以上赤くなっているのを見られるのが嫌で、私の頭の後ろで固定されている手に逆らい、ぷいっと反対方向を見た。

すると、がしっと両手でほっぺたを挟まれ、ぐいっと無理やり目を合わせさせられた。

やーめーろー!!


……決めた。私は抵抗してみせる。


──ドスッ。

目を合わせさせられるくらいなら、と。

ぎゅうっ……。


「え、ちょっ、なにして……」

「私も好きだって言ってんの!バカ!」


こうなったらもはや、やけくそだ。

勢いのまま彼の胸辺りに頭突きをして、顔を見られないように伏せたままぎゅっと抱きついた。

自分の大胆な行動に更にあつくなり、もっと顔が赤くなったと確信したが、顔を見られていないのならだいじょーぶ。
うん、ダイジョーブ。

想いも、大きい声で伝えたし……許して。