お日さまみたいな温かい君に包まれて

あれは2年前の、中間テスト1週間前の日だった。




『なぁ、今日の放課後、雪塚さんも一緒でいい?』



階段の掃除中、クラスメイトの東馬がゴミを集めながら口を開いた。



『数学教えてほしいって言われてさ。いい?』

『あぁ……うん、いいよ』

『ありがと。じゃあ4時から開始で!』



ちり取りを持って、ゴミを捨てに走っていった東馬の背中を見送る。


10月下旬。葉が色づいて、夜風が肌寒く感じてきた頃。

今日の放課後は、学年首位の東馬に勉強を教えてもらう予定だった。


けど……雪塚さんも一緒なのか。


階段を雑巾で拭いて、洗って教室へ帰還。すると。



──ガラッ。



「「あっ」」



ドアに触れた瞬間、ドアが開いて雪塚さんが現れた。

うわっ、目合っちゃった。
もー、なんでこのタイミングで鉢合わせするんだよ。気まずいじゃねーか。


心臓が高鳴るのを感じ、急いで道を空ける。



「あの、東馬に聞いたけど……今日の放課後、よろしくね」

「あ……うん。こちらこそよろしくね」