お日さまみたいな温かい君に包まれて

でもそれだと、話しているのを家族に聞かれたり、「いつまで話してるの!」って怒られそう。


それに、電話に出るのが必ずしも恋人とは限らないし。
兄弟ならまだしも、親だったら気まずさマックスだと思う。


昔の人はメンタル強かったんだな。

だって、俺の場合だと雪塚さんのお父さんと話すわけでしょ?


緊張して、「こ、こ、こんにちは! は、はじめましてっ!」って声裏返りそう……。


スマホと携帯がある時代に生まれて良かったぁ。



「ねぇ、おじいちゃんとおばあちゃんに話聞いたんだよね? 近所に住んでるの?」

「うん。お父さんの地元がここなの。お母さんは地方出身なんだ」

「そうなんだ。俺の親も地方出身。だから家が遠いんだよね」



詳しく聞いたら、宿題の資料探しに一足先に1人で帰省したらしい。


いいなぁ。俺も会いたいなぁ。

ばあちゃんの作る料理、めっちゃ美味いんだもん。
長年遊びに行ってないから名前忘れたけど、多分郷土料理だったはず。


また食べたいなぁと、お茶を味わいながら思いを()せる。



「え……? 何が食べたいって?」

「へ⁉ あっ、いや、何でもないっ」



ヤバッ、食べたすぎて心の声が出てた⁉

顔が熱くなっていくのを感じ、お茶を急いで飲み干してトイレに逃げた。