お日さまみたいな温かい君に包まれて

葵side



──パタン。



景斗くんに別れを告げ、家に入った。

玄関のたたきには、黒いサンダルがポツンとお行儀良く綺麗に並んでいる。


もうお昼過ぎてるし、この時間ならとっくに帰って来てるよね。
車もあったし。



洗面所で手を洗い、軽くうがいをしてリビングのドアを開けた。



「……ただいま」

「おかえり。遅かったわね」



抑揚のない冷たい声。

こちらに背を向けて座っているけれど、顔を見なくても機嫌が悪いことがうかがえる。


昨日の三者面談から帰ってきてから、ずっとこの調子。

今朝も、顔を合わせる度に何回も溜め息をつかれた。



「お弁当買ってきたから、早く食べなさい」



冷蔵庫を開けようとすると、振り向いて冷たい視線を向けてきた。

ダイニングテーブルの上には、スーパーで買った、揚げ物たっぷりのお弁当が置いてある。



「……いらない」



ボソッと返事をし、冷蔵庫から白ご飯が入った容器と卵を取り出す。


すると母は、あからさまに大きく溜め息をついた。