お日さまみたいな温かい君に包まれて

「ケンカの原因って……進学先のこと?」

「……うん」

「そっ、か……」



先生の話と合わせると、「どこの学校に行きたいかで親子の意見が対立した」ってところか……?

特待生を目指しているわけだし、金銭面も関わってくるよな。



「大声上げちゃってビックリしたよね。本当にごめんね」

「ううん、話してくれてありがとう」



仲直りできたか聞こうと思ったけど……これ以上は踏み込まないほうが良さそうだ。



しばらく休んだ後、彼女を家まで送り届けた。


雪塚さんの家は、黒と白を基調としたスタイリッシュな雰囲気の一戸建てで、学校から歩いて約30分ほどの閑静な住宅街の中にあった。

駐車場には、家の色と同じ、黒い軽自動車が停まっている。



「送ってくれてありがとう。暑い中、色々とお世話になっちゃって……ごめんね」

「ううん、気にしないで。前にも言ったけど、もし何かあったらいつでも相談に乗るから」

「うん……ありがとう」



別れ際に笑顔を見せてくれたけど……彼女の瞳は、先程打ち明けてくれた時と同じ、切なくて苦しい色をしていた。


雪塚さんが、無事にお母さんと和解できますように。

閉まった黒い扉に向かって、心の中で小さく願った。