お日さまみたいな温かい君に包まれて

そう答えた途端、額から汗がスーッと頬に伝った。



「……フフフッ、一緒に使おうか」

「……うん」



己の体の正直さに恥ずかしくなった。
冷たいジュースで下げたはずの体温は、再び上がって元通り。


はぁ……本当、嘘つくの下手くそすぎだろ。
見え見えすぎて笑われちゃったし。かっこ悪……。



扇風機のスイッチをオンにした雪塚さんが、こちらに距離を縮めてきた。

風に乗って、ふわっと石鹸の香りが漂う。



っ……落ち着くんだ景斗。

さっき俺の胸の中に寄りかかってきてたじゃねーか。何を今更ドキドキしてるんだ。

あぁもう、手にまで汗かいてきた。このままじゃ俺が熱中症になっちまうよ。
心臓、汗、早く落ち着くんだ!



「……清水くん」

「はいっ⁉ なっ、何⁉」



いきなり名前を呼ばれ、肩がビクッと跳ねて声が裏返った。


はぁー……今すぐここから消えたい。

なんなら、さっきの見栄っ張りでかっこ悪い嘘も、裏返った声も、雪塚さんの記憶から一緒に消し去りたい。



「……さっき言いそびれたけど、実は昨日、お母さんとケンカしちゃったんだ」



力弱く笑った雪塚さん。

その瞳は少し切なく、苦しそうにも見えて、雷雨の日の放課後に見た眼差しと重なって見えた。