──ガコン、ガコン。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
自動販売機でスポーツドリンクを購入し、手渡した。
日陰に座り、少し休んでいくことに。
「今日は自転車じゃないの?」
「うん。タイヤがパンクしちゃって」
穏やかな声で返答した後、スポーツドリンクをゴクッとのどに流し込んだ雪塚さん。
まだ少し呼吸は荒いけど、会話はできているのでちょっと安心した。
「お金、出させちゃってごめんね。それにタオルまで借りちゃって」
「いいよ。雪塚さんにはいつもお世話になってるし、お礼ってことで」
「……ありがとう」
良かった。笑顔が戻った。
買ったスポーツドリンクを開けて、自分もゴクゴクとのどに流し込む。
ふぅと溜め息をつくと、生ぬるい風が頬を撫でて、ふわっと髪の毛を揺らした。
……あ、確か今日持ってきてたはず。
「雪塚さん、これ使って」
バッグから手持ちタイプのミニ扇風機を取り出し、彼女に手渡した。
「いいの……? 清水くんも暑いんじゃ……」
「大丈夫! そこまで暑くないから! ジュースもあるし!」



