音楽室の前に立っていたのは教頭先生。 「特別に10分だけ貸します。5時までに校門前に来てくださいよ。中田さんが車で待ってますから」 私と先生は教頭先生にお礼を言い、懐かしい音楽室へ足を踏み入れた。 泣いちゃうに決まってるじゃん。 だって、この匂い。 この空気・・・ あの頃と同じ。 カーテンから差し込む光も、ベートーベンの視線も・・・ 変わってない。