花びらのなくなった桜の木が見える。


春を迎えて嬉しそうに咲く野の花。




「お母さん、どうしてここに?」



お母さんは、高校の校庭が見える場所に車を停めた。



「懐かしいでしょ?高校の頃、ここから先生のこと見てたんでしょ?」



「うんうん!!懐かしい!」



私は、先生が校庭のどこにいてもすぐに見つけることができた。

いつも先生を見つめていたんだよね・・・



「あ!!先生だ!」



「やっぱりあのジャージ着てるのね~!」




先生は、チャイムが鳴る前に校庭に出て、生徒と話していた。



腕に出席簿を挟み、ポケットに手を入れて…

昔と同じように笑っていた。



「好きになるわよね。あんな体育の先生がいたら」



お母さんは、先生に見とれる私を見ながら笑った。



春の暖かい日差しが体に降り注ぐ。


先生は、太陽の光を全部集めているように、輝いて見える。