褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません


部活終わり。兄と一緒に帰路に就く。


怒った時はいつもギロッと睨んでいるけど、クラスメイトがいたからか、今日は眼光が弱かった。

本気で怒ったわけではないのはわかっている。



「小学生の頃、先生から実玖の目の前で褒められたのを思い出したんだ。『景斗くんは明るくて元気いっぱいで、お友達がたくさんいるね』って」



前を向いたまま話す兄に耳を傾ける。


そんなことあったっけ……。

昔からお兄ちゃんは社交的で明るい性格で、私は地味でおとなしい性格。

先生や友達からしょっちゅう、『お兄さんと全然性格違うね』と言われ続けてきた。



「その時は、お前がどう思ってるかなんて全然頭になかったけど、今になって、実玖もあの時こんな風にモヤモヤしてたのかなって思ってさ」



確かに当時は、兄だけ褒められることが多く、少し寂しい思いをしていた。

けど……。



「まぁ、少しモヤモヤはしてた。けど、あそこまで嫉妬心剥き出しにしたことはないよ」



気持ちを理解してくれたのはありがたい。

だがしかし、私は兄のように露骨にやきもちを妬くタイプではない。



「俺、そんな顔に出やすい?」

「うん。さっきもだったけど、今朝雪塚先輩と登校してた時、顔デレデレになってたよ」