褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

突然褒められたけれど、なんとか否定せずお礼を言うことができた。

止めていた手を動かし、ビーズを糸に通す。



「……いいなぁ」

「えっ?」

「器用で絵も上手くて、おまけに勉強もできていいなぁ!」



な……何? 急にどうしたの?



「へぇー、清水さんって絵も上手いんだ」

「そうそう。こないだ服の絵を見せてもらってさ。すっごく可愛かったから、今年のショーの服のデザインもお願いしたんだ」



楽しそうに話す西尾先輩と草山先輩。

そんな2人を兄は軽く睨んでいる。


もしかして、目の前で私だけ褒められたからやきもち妬いてるの⁉



「もー! 実玖を褒めるのはいいけどさ! 隣で聞かされている俺の気持ちも考えてくれよ!」

「あっ、ごめん!」



兄妹格差を感じたのだろうか。

その後、悪戦苦闘しながらも、なんとか時間内にブレスレットを作り上げた。



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「今日は騒いで悪かった。あれ、本気で怒ってたわけじゃなくて、ちょっとモヤってしただけだから」

「別に気にしてないよ。それに、そこまで強く睨んでなかったし……」