「はじめまして。2年の草山 江利香です。よろしくね」
緊張でガチガチになっている私に、草山先輩は優しい声色で自己紹介をしてくれた。
声と表情から余裕が感じられる。
この人も可南子みたいに、見た目と性格が正反対なのかな……?
──30分後。
「東馬ー、次どうしたらいい?」
「ん? あー……この糸はこの穴に通して……」
ブレスレット作りに手こずる兄に、優しくそばで教える西尾先輩。
その兄の隣で黙々とビーズを糸に通していく私。
何をしているのかというと、ファッションショーで使うブレスレットを作っている。
最初は作業の邪魔にならないよう、挨拶してすぐ帰る予定だった。
しかし、お兄ちゃんが『俺らも作るの手伝う』と口にしたため、1つだけ作っていくことにしたんだ。
それにしても、ショー用のアクセサリーも自分達で作っているなんて。
本当、手芸部には頭が下がるよ。
「うわっ、早っ。俺の倍進んでんじゃん」
兄が私の手元を見て焦り始めた。
別に勝負してるわけじゃないんだから、そんなに焦らなくても……。
「実玖ちゃん早いね〜。しかもすごく綺麗にできてる! 手先が器用なんだね」
「えっ、あっ……ありがとうございます……」



