褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

服を渡し終えて、部室をぐるりと見渡す。

ミシンや手縫いで服や小物を作っている人はもちろん、かぎ針で編み物をしている人やアクセサリーを作っている人もいる。

美術部も自由に活動しているけど、手芸部もわりと自由度が高そう。



「実玖ちゃーん!」



作業している生徒達を眺めていると、アクセサリー作りをしている西尾先輩に呼ばれた。

なぜか兄も一緒にいる。


手招きをする西尾先輩の元へ向かい、兄の隣に着席。

先輩の隣には、可南子と同類の可愛らしい顔立ちの女子生徒がちょこんと座ってアクセサリーを作っている。


初々しい1年生と比べて、落ち着いた表情の彼女。恐らく先輩だろう。



「こ、こんにちは……1年の清水 実玖です。よ、よろしくお願いしますっ」



目の前に座っている彼女と目が合い、たどたどしく名乗った。


普段、女の子と話す時はそこまで緊張はしないのだけれど、先程手芸部の人達から視線を浴びたので、少しドキドキしている。