「もしも自主練するのであれば、今持っている服をよく観察して、その服の特徴や良さを見つけてみてください。
ファッションショーっていうのは、名前の通り服がメインなので、どうやったら見ている人に服の魅力が伝わるかを、まずは私服で練習してみるといいと思います。あとは……」
あまりにも真面目で意識が高い助言に、その場に沈黙が流れる。
ハッと我に返った先輩は、やってしまった……と言わんばかりの表情を浮かべた。
だがしかし、彼の言う通り、ファッションショーはモデルさんではなく服がメインだ。
モデルさんにキャーキャー言ってしまったら、それはもうファッションショーではなく、モデルショーになってしまう。
「あー……つまり、どうやったら自分が着ている服を他の人にも着てみたいと思わせられるかを……」
「ありがとうございます!」
いきなり大声で沈黙を破った須川くん。
横目でチラッと見ると、感動したのか瞳がキラキラと輝いている。
そういえば、中学時代から先輩のファンだったっけ。
「勉強になりました! 早速今日からやってみますね!」
「あぁ……お役に立てたのなら良かったよ」
須川くんの天然ぶりに、西尾先輩も苦笑いしている様子。



