褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

対面式が終わった後は、部活動の見学と体験の時間。

高校では、中学でも入っていた美術部に入部しようと思っている。

昔から絵を描くのが大好きで、小学生の頃は可南子の似顔絵を描いてプレゼントしたこともあるくらい。


ちなみに、可南子はバリバリの体育会系なので、運動部の見学に行くとのこと。

なので、今は1人で行動している。



「失礼しまーす……」

「あ、やっと来た。おせーぞ実玖」



そーっと美術室のドアを開けると、なぜかドアの近くで兄が腕を組んで立っていた。



「なんでいるの⁉ 帰宅部じゃ……」

「帰宅部だからってプラプラしてたら先生に怒られるから、今日はどっかの部活にお邪魔しないといけないんだよ」



兄に案内されて中へ入る。


もしかして、私が来るまでずっと待ってたの……⁉

私が来る前に来た人はきっとビックリしただろうな。

ドア開けたら、180センチ越えの巨人が腕組んでるんだもん。



「お待たせしましたー! こちらが妹の実玖でーす!」

「っ……はじめまして。清水 実玖です。よ、よろしくお願いします」



兄の隣でたどたどしく自己紹介をすると、机に向かっていた生徒達が一斉に顔を上げた。

新入生らしき人も含めると、ざっと20人くらいいる。