褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

たどたどしく名乗り、ペコッと頭を下げる。

顔を上げると、中にいる生徒達が作業していた手を止めて私達を見ていた。


っ……大丈夫、落ち着け。
ショーに出るモデルが来たから、みんな気になっているだけ。決して睨んでいるわけじゃない。



「あ! もしかして清水くんの妹さん?」

「は、はいっ!」



清水景斗の妹だとわかった瞬間、中にいる生徒達がざわつき始めた。



「アハハ! 緊張しなくて大丈夫だよ! うちの部員みんな優しいから! さ、入って入って!」



中へ入り、空いている席に座る。

近くで作業をしている生徒達がチラチラと私達を見ている。



「顔、こわばってるけど……大丈夫?」

「あっ……大丈夫!」



隣に座っている須川くんに無理矢理笑顔を向ける。


心配されるほど顔に出てた?

はぁ……顔は似てないのに、どうしてこういうところは兄妹そっくりなんだろう。



「こんにちは~。遅くなりました~」

「こんにちは! モデルの清水です! 今年もよろしくお願いします!」



勢い良くドアが開き、リュックサックを持った兄と西尾先輩が現れた。

生徒達の注目を浴びながら中へ入る2人。


……ん? 後ろにも誰かいる……?