褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

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放課後。



「清水さんは席どこだった?」

「真ん中の列の一番後ろだよ」

「そっかぁ。俺は窓際の一番前。結構離れたね」



須川くんと席替えの話をしながら、手芸部の部室である被服室へ向かう。

今日は部活をお休みして、手芸部に挨拶しに行くことにしたんだ。



「ねぇ、そのバッグ重そうだけど、何が入ってるの?」

「服だよ。先週、西尾先輩から『着なくなった服があったら持ってきてほしい』って言われたの」

「あー、そういえば俺も言われたな。ショーで使う服の材料にするんだったっけ。こないだ衣替えし終わったから、今度家族の服も一緒に持っていこうかな」



集合時間の10分前に被服室に到着。
須川くんがノックをしてドアを開ける。



「失礼します。ファッションショーのモデルの件で来ました。1年の……」

「はーい! ちょっと待ってねー!」



部屋の中から女子生徒の元気な声が返ってきた。


須川くんの後ろからそっと中を覗くと、たくさんの生徒が机に向かって作業をしている。

全員いるのかはわからないけど、見た感じ、美術部よりも部員が多そう。



「はじめまして! 手芸部部長の布川です! 今日は来てくれてありがとう! えーっと……1年生かな?」

「はい! 2組の須川です!」

「お、同じく2組の清水です。よろしくお願いしますっ」