褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

そこには、自転車を押して歩く雪塚先輩と満面の笑みを浮かべる兄がいた。



「美術部の先輩でもあって、すっごく優しいんだよ」

「へぇ〜。なんか景斗さん嬉しそうだね。絶対あの先輩のこと好きでしょ」



「わかりやす~い」とニヤニヤする可南子。


わざわざ踵を返してまで一緒に登校するなんて、本当に先輩のことが好きなんだなぁ。

邪魔にならないよう、先に2人で学校に足を進めた。



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「あ、清水さん、才木さん、おはよう!」



教室に入るやいなや、須川くんが手を振りながら挨拶してきた。


朝からご機嫌な様子。何かいいことでもあったのかな?


席に座ると、黒板に大きく書かれた座席表が目に入った。


あ、今日席替えするんだったっけ。

朝のホームルームでくじ引きをして、掃除の時間に移動するんだよね。

それでルンルンしてるのかぁ。



「ねぇ清水さん!」

「ん?」



教科書とノートを机の中に入れていると、後ろからポンポンと肩を叩かれた。

振り向くと、口角が最大限まで上がっているニコニコ顔の須川くんと目がパチリ。


そ、そんなに席替えが楽しみなの……?