褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません


「大丈夫。実玖ちゃんのデザイン、とっても素敵だから。きっと手芸部の人達も気に入ると思うよ! 俺が保証する!」



優しい笑顔で励ましてきた西尾先輩。

その目は初めて会った時と同じ三日月の形になっている。



「私のデザインで良ければ……よろしくお願いします」

「ありがとう! こちらこそよろしくね!」



背中を押されたおかげなのか、ホッとして自然と口が動いていた。

頑張ってみよう。そう思った直後。



「あとね、モデルもお願いしたいんだけど……どうかな?」



先輩の発言に耳を疑った。



「それって……兄みたいにランウェイを歩くやつですか?」

「うん!」



えええええ……⁉ わ、私がモデル⁉
ちょっ、それ本気で言ってるんですか⁉



「ほら! さっき、『ドレスとかワンピースとか着てみたい』って言ってたし! 夢叶えられるよ!」



そ、そうは言いましたけど……っ!

デザインの提供に加え、モデルまでやるのはさすがに気が引けるよ……。