褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません


「す、すごいですね……もうお店出せますよ!」

「ありがとう……」



技術の高さに驚いていると、先輩が照れ臭そうに笑った。

褒め上手な先輩も照れることあるんだ。



「ほらっ、そろそろ本題に戻るぞ」

「あぁそうだった。景斗が言ってたように、ショーの服は手芸部が用意してるんだ。毎年新しいデザインを考えるんだけど、これが結構時間かかってね……。それで、実玖ちゃんのデザインを参考にしたいなと思ったんだけど……どうかな?」



なるほど。言われてみれば、毎年新作をデザインから作り出すのは大変だ。

でも……。



「そう言っていただいてすごく嬉しいです。けど……本当に私のデザインでいいんですか? 手芸部の人達に比べたら、私なんて全然知識ないですよ……?」



お願いされたのは嬉しい。
だけど、自分で考えたデザインを大勢の人が目にすることになる。

人にデザインを見せたことがほとんどない私にとって、不特定多数の人の前で発表するのはかなりハードルが高い。



「まーた否定してるな?」

「あっ……」



兄の険しい表情でハッと気づく。

うぅ、またやっちゃった。自信持てってさっき言われたばかりなのに。