褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

スケッチブックを見て談笑していると、西尾先輩が話を切り出した。



「あの……そのショーって、去年兄が出てたやつですか?」

「そうそう! もしかして観てくれたの⁉」

「はい……」



去年、『文化祭でファッションショーをやるから観に来い』と言われ、学校見学も兼ねて行った。

個性的なデザインの服はもちろん、華やかなドレスも出てきて、結構本格的なショーでビックリしたっけ。


まさかお兄ちゃんがトップバッターで出てくるとは思わなかったな。

しかも。



「あったあった、これだっけ」



クローゼットからヒョウ柄のコートを取り出した兄。

実際にショーで着ていた物だ。近くで見るとやっぱり派手だなぁ。



「これ、着心地はいいんだけど、外で着るにはちょっと勇気がいるから部屋で着てる」

「え⁉ 部屋着にしてるの⁉」

「おぅ。だってお前が俺のために夜なべして1から作ってくれたんだから、着ないともったいないだろ?」



ん? お前が俺のために……?



「この服、西尾先輩が作ったんですか?」

「うん! そうだよ!」



えええ⁉ こんな立派な服を1人で⁉

あと、ファッションショーって手芸部が主催なの⁉
す、すごすぎる……。