褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

そっとドアを開けて教室に帰還。

幸い、クラスメイトは数人しかおらず、自分の周りの席にも人がいなかったので誰にも話しかけられずに済んだ。


体操服を入れたバッグを机の横にかけて、スクールバッグから弁当箱を取り出す。



「いただきまーす……」



存在感を消すかのように、ひっそりとご飯を口の中へ。


今気づいたけど、景斗いなくね?

草山さんと話したのほんの数分前なのに。
トイレにでも行ったのかな。


なんて考えていると……。



「あ、いたいた。東馬〜!」



教室に戻ってきた景斗がズカズカとやって来た。

あぁもう! せっかく静かに食べてたのに名前を呼ぶなよ!



「急にいなくなったから心配したぞ。つーか髪びしょびしょだな。シャワーでも浴びたの?」

「…………」



口にご飯を詰め込んでいて口を開けず、黙って顔を横に振った。

頼む……もうちょっと声のボリューム下げてくれ……。



「ん? なんか顔色悪くね?」

「っ……!」



様子がおかしいと気づいた彼が、真ん前にしゃがみこんで下から顔を覗き込んできた。