褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません





「ただいま~」

「あ、おかえり。もう飯できてるってよ」

「わかった~」



午後6時。ショッピングを終えて帰宅。

廊下を歩く兄に返事をして、荷物を置きに部屋へ向かう。



「なぁ、今日誰と遊んでたの?」



すると、階段を1段上がったタイミングで呼び止められた。



「ぶ、部活の先輩とだよ」

「ふーん……なんか石鹸のいい匂いがするなぁって思ってさ」



石鹸……多分その匂いは雪塚先輩の匂いだ。

今日はバスの中で至近距離で話したから、その時に匂いが移ったのかもしれない。

にしても、お兄ちゃんの嗅覚鋭いな。



「そんなに匂う?」

「いや、そこまでは。かすかに香るくらい」



気分が良くなった兄は、そのままペラペラと話し続ける。



「実はこの匂い、俺の好きな子の匂いに似てて。何の香水使ってるんだろうって、ずっと探してるんだけど、なかなか見つからなくてさ〜」



んんん……⁉

それって、雪塚先輩の匂いを探し求めているってこと……⁉



「な、なんでそんなに探してるの?」

「え? 会えない時でも寂しくないじゃん。部屋中に振りまけば、一緒に過ごしているかのよう……って、何言ってんだ俺」