褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

場内に響く音楽が変わり、再度ステージへ。


ステージの下には、ドレス姿の生徒達が横一列に並んでいる。

歩いた後はここに並び、最後の人が出るまで待つことになっているのだ。


一歩ずつゆっくりと階段を下りて、時折お客さんに手を振りながら歩いていく。


そして、ランウェイの先端に到着。

相変わらずテンションが高い可南子を見つけ、思わず頬が緩んだ。


カメラに手を振っていると──観客の中に美優紀さんの姿を見つけた。

私の視線に気づいたのか、美優紀さんは前方にいる少し背が低い男の人を指差し始めた。


もしかして……!


一瞬目を丸くした後、私はその男の人が持つカメラのレンズに満面の笑みを向けた。



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「お疲れ様でした。写真、現像して渡すね」

「ありがとうございます!」



文化祭が終わり、先輩と一緒に人気のない階段に集まった。

予想通り、美優紀さんの近くにいた男の人は、西尾先輩のお父さんだった。



「みんなすごく良かったけど、その中でも実玖ちゃんの笑顔がずば抜けてたって言ってたよ」

「ええっ!」



プロのカメラマンさんがそんなことを……。

少しお世辞が入っているかもしれないけど、嬉しいな。