褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

「今朝は気合い入ってたのに。どうしたの?」

「思ってたより、お客さんの席が近くて。ランウェイのすぐそばに椅子があったから……」



ランウェイは高台のようなものではなく、床にレッドカーペットが敷いてあるだけ。

お客さんとバッチリ目が合うステージだったのだ。



「笑顔が引きつらないかなって心配でさ……」

「上手く歩けるかよりも、表情が心配なのね」



うんうんと頷く。


ウォーキングは、足が治ってから遅れを取り戻すように必死で練習した。

1人で歩けるようになって自信はついたけど、表情がどうしても固くなってしまう。


練習の時に、『もう少し口角上げて!』と美優紀さんによく指摘されたほど。

ガッチガチの怖い顔は、文化祭の楽しい雰囲気に似合わないので、せめて微笑んでほしいのだと。



「西尾先輩のことを考えれば、自然と顔緩むんじゃない? 今日告白するんだよね?」

「そうだけど……」



モグモグとメロンパンを噛み潰す。


先月、私は西尾先輩に告白すると決めた。


お兄ちゃんや可南子はもちろん、雪塚先輩と草山先輩からも応援をもらった。

結果は目に見えているし、緊張はするけれど……自分の気持ちを伝えるって決めたんだ。