褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

突然放たれた褒め言葉に、全身にゾワッと鳥肌が走った。


落ち着いた声のトーン、背中のチャックを下ろす優しい手つき。

さっきの嫌悪感たっぷりの眼差しとの温度差に恐怖を感じ、胸の鼓動が速まっていく。


この時間が早く終わって欲しい。

そう強く願ったその時。



「……清水さん、明日の放課後、練習終わってからちょっと時間ある? 話したいことがあるの」

「……はい。少しだけなら……」



背中越しに聞こえた言葉に全てを察した。


多分、西尾先輩絡みの話だ。

噂話は草山先輩の耳にも届いているはず。
きっと必要以上に絡むなってことだよね。


けど、キッパリ断るって決めたから。
ちゃんと伝えよう。



翌日──ウォーキング練習が終わり、人気のない渡り廊下へ。


大丈夫。昨日の夜に何度も練習した。

怖いけど、「交流を絶つことはできません」ってハッキリ言うんだ。


歩いていくと、以前草山先輩と話した女子トイレが見えてきた。

またじとーっとした目つきで睨まれるのかな……。



「清水さん、待たせてごめんね」



聞き覚えのある声がしたほうへ顔を向けると、弓なりに細めた瞳と目が合った。