褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

とはいえ、ドレスで歩いたことがないから歩く練習はしておきたい。



「そう、ですか? なら、少し歩いてきます」

「あっ……1人で平気?」



差し出された手を無視して歩こうとすると、少し悲しげな瞳と目が合った。


っ……ごめんなさい。
本当は嬉しいんです。嫌じゃないんです。

ただ、ここで手を取ったら、また噂が広がってしまうから。

先輩が否定した意味がなくなってしまうから。


だからごめんなさい。



「もう補助なしで歩けますから……うわっ!」



言ったそばからドレスの裾を踏んでしまった。

手に広がる感触で、また腕を掴んでしまったことに気づく。


あぁもう最悪。何やってるんだ私は。


……ん? なんか前よりも一回り細い気が……。



「実玖ちゃん、大丈夫?」

「あっ……はいっ! すみません、ありがとうございます」



恐る恐る顔を上げると、目の前には雪塚先輩が。

よ、良かった……雪塚先輩の腕だったんだ……。


いや、良くない!

結構ガッチリ掴んじゃったから跡がついてる。
それに色白だから余計赤みが目立ってるし。
うぅ……ごめんなさい。



「実玖ちゃん、一緒に歩こうか」