他の生徒達の視線に耐えながら全教室を通り越して、反対側の階段があるところまで歩いた。

少し休憩した後、今度は1人で歩いてみることに。



「急がなくていいからね」

「はいっ」



フォームを確認してもらいながら、一歩一歩進んでいく。


えーと……確かプリントには。

みぞおちの当たりから脚が生えてるイメージで。
膝と膝を擦り合わせるように足を踏み出して。
腕は前だけじゃなくて後ろにも振って……。



「ねぇ、もう少し膝伸ばせない?」

「は、はいっ!」



あぁそうだった。

不安定な靴だとバランスを取るのが難しいから、どうしても曲がっちゃうんだよね。


……って、今気づいたけど、美優紀さんいないな。
どこに行ったんだろう? 仕事の電話しに行ったのかな?


それと、練習してた他の生徒達が何人かいなくなってる。

人が多いと練習しづらいから、別の階に移動したのかな。


あと、お兄ちゃん全然帰ってこないな。


あれこれ考えつつ左足を上げたその時──軸がブレて右足が大きくグラついた。



「キャッ……!」

「────っと……大丈夫⁉」