褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

想像を膨らませる。

あの美しさと上品さ、子ども達だけじゃなく、ママ友や先生達からも言われてそう。



「父親はどんな人なんだろうね。やっぱイケメンで多才な人なのかな?」

「そう、だね。きっとセンスがいい人なんじゃないかな」



心臓がドクンと鳴ったせいで返事がぎこちなくなった。

母親が華やかな仕事をしていたのなら、父親の仕事も気になるのも当然。



『お父様の仕事のこと、誰にも言ってないんですか⁉』

『うん。知ってるのは身内くらいで……』



夏休みに交わした会話が脳内を駆け巡る。


私に打ち明けるまで、ずっと秘密にしてたんだよね。

聞かれる度に誤魔化し続けるの大変だっただろうなぁ……。


「俺のお父さん、芸能人の写真撮ってるんだぜ!」って自慢したくても言えなかったわけだし。

あぁでも、西尾先輩の性格からしたら、親の自慢をするようなタイプじゃないか。



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「今日から練習を始めていきます。よろしくお願いします」

「「「よろしくお願いします」」」



午後4時。いよいよ練習が始まった。


まずは基本姿勢から。

なので現在、廊下ではなく鏡がある階段の踊り場に集まっている。


今から1人ずつ姿勢のチェックを行うそう。