褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

美優紀さんの真面目な表情と声に、多くの生徒が動揺し始めた。


私も、太りたくてお菓子とかジャンクフードを食べまくってたな。

でも結局、胃もたれしてお腹壊して終わったんだよね……。



「中高生くらいの年代の子は、顔や体型といった容姿で悩む人が多いよね。特に女の子は敏感な人が多いと思う。

理想を追い求めて努力するのは素敵なことだけど、体が悲鳴を上げるくらい頑張るのは本当にやめて。今はなんともなくても、年を取った時に支障が出るかもしれないから。

勉強するにしろ、遊ぶにしろ、健康じゃないと人生思いっきり楽しめないからね」



気づけば教室がしーんと静まりかえっていた。

壮大な話だけど、おばあちゃんになった時のことを考えると納得がいく。



「あらごめんなさい! ちょっと熱くなりすぎちゃった!」

「もう、お母さんってば……」



部屋の端から西尾先輩の溜め息が聞こえてきた。


そういう先輩も、私達の前で服について熱く語ってたよね?

性格は違えど、情熱的なところは親子そっくりなんだなぁ。



「人生……か。減量も増量も、まずは健康的な生活を送ることが大切ですよね」



沈黙が流れる中、隣に座っていた須川くんが冷静に口を開いた。

前回と違って真剣な眼差し。スポーツ経験者だからか、すごく共感している様子。