褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

初めて会った時に『東馬でいいよ』って言ってくれてたけど……先輩だし。

男の人を下の名前で呼ぶのに慣れてないから、未だに名字呼びなんだ。



「うちのお母さん、ちょっと変わり者でさ……何か変なこと言われてない?」

「いえ、特に何も」



下の名前で呼ばれたことに対して何も触れてこないってことは……あまり気にしてないのかな?

寝起きだったし、もしかしたら気づいてなかったのかも。



─────
───



「みなさんこんにちは。今年もファッションショーのウォーキングを指導します。西尾です。よろしくお願いします」



放課後の被服室にて。美優紀さんとモデルさん達との顔合わせが行われた。

室内にパチパチパチと拍手が鳴り響く。


ウォーキングレッスンは毎週火曜日と木曜日で、4時から5時までの1時間。

11月にはファッションショーが行われる体育館で練習をするとのこと。



「今日は顔合わせだけなので、練習内容などの詳しい話は明日話します。ここからは質疑応答タイムにしようかな」



挨拶と説明を終えた美優紀さんに、生徒達が次々と挙手し始めた。