褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

「もー! 『保健室まで』って呼ばれて、めちゃめちゃ心配したんだからね⁉」

「ごめんねぇ。今回は軽かったから平気かなって思ったのよ」

「だからって……っていうか、なんでこんな暑い日に長袖着てるの⁉」

「だってこの学校、冷房ガンガン効いてて寒いのよ~」



予想通り、美優紀さんはこの学校の卒業生で、3年生向けの進路講演会に参加していたそうだ。

顔合わせがある放課後まで時間が余ったから、暇潰しに校内を散歩していたんだって。


しっかり者の西尾先輩とは違って、お母様は自由奔放な性格っぽいな。


──キーンコーンカーンコーン……。


昼休み終了5分前のチャイムが鳴り、保健室を後にした。



「実玖ちゃんありがとう。あと、騒いじゃってごめんね」

「いえ……」



変に緊張してきた……。

顔を合わせたの、家に泊まりに来た時以来だから……3週間ぶりくらいだっけ。


あの日、下の名前で呼んで起こしたんだよね……。


なぜ下の名前で呼んだのかというと。

夜中の出来事が兄にバレていたようで、『問い詰められたくなかったら、東馬と呼んで起こせ』と脅されたから。