褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

自己嫌悪に陥っていると、何かに気づいたのか、彼女の瞳が輝き出した。



「お兄さんって、もしかして景斗くん⁉」

「はい、そうです。兄がいつもお世話になっています」

「こちらこそ! 夏休みはうちの東馬がお世話になりました」



頭を下げ合う私達。

そっか。去年もウォーキングの指導したから、お兄ちゃんのことも知ってるのか。



「あ、自己紹介してなかったわね! 改めまして、西尾 東馬の母の美優紀と申します。よろしくね」

「清水 実玖です。よろしくお願いしますっ」



再び頭をペコッと下げた。


よく見たら、ニコッと笑った目元が西尾先輩と少し似ている。

あの三日月スマイルはお母さん似だったのかぁ。身長はお父さん似なのかな?


なんて考えていると、ガラッと勢いよくドアが開いた。



「失礼しま……へ⁉ 実玖ちゃん⁉」

「あっ……こんにちは……」



息を切らして現れた西尾先輩。

大きい目を満月のようにまん丸にしてその場で固まっている。



「え、ちょっ、どういうこと⁉」

「ツキが来てちょっとフラフラしちゃってね、彼女に助けてもらったの」



「ね?」と目が合い、コクッと頷く。

美優紀さんの説明によると、暑さにやられていたわけではなく、貧血でフラついていたらしい。