褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

「失礼します」

「はーい、いらっしゃい。あらっ! 美優紀(みゆき)ちゃん! どうしたの?」

「あー……ちょっとツキが来ちゃってね」



中に入るやいなや、お姉さんと保健室の先生の森先生が親しげに話し始めた。

どうやら2人は知り合いのようだ。


森先生は確か50代だったっけ。

このお姉さんの年齢からすると、ここの卒業生というのも考えられる。


奥に進み、彼女をソファーに座らせた。



「息子さん呼んで来るね」

「ええ~っ、いいよ。放課後また会うし」



先生の口から出た言葉に目を見開いた。


ええっ⁉ む、息子⁉ 母親だったの⁉

お子さんの年齢が16から18だから……20代前半で母親になったってこと、だよね? 40歳の計算なら。



「そうは言っても、母親が体調を崩しているんだから。呼んでくるね」



呆然と立ち尽くしている間に、先生はお姉さんを言いくるめて保健室を出ていってしまった。


今からお姉さんの息子さんがここに来るのか……。
邪魔になるし、この辺でおいとまするか。



「お嬢さん、ありがとう。助かりました」

「へっ⁉ あっ、いえ……」



一言挨拶をして帰ろうとしたのだけど、呼び止められてしまった。

2人きりなのもあり、「うちの子が来るまで少し話さない?」と誘われたので、少し話していくことに。