「嘘だろ⁉」

「嘘じゃない。『んー……』って返事してた」



いや、それを返事と捉えるなよ!
せめて、「んー……わかった」だろ!



「せ、先輩……」

「うわぁ! 見ないで! 俺寝起きブスだから……!」



実玖ちゃんの視線に気づき、慌ててタオルケットで頭をすっぽり隠す。



「大丈夫ですよ! 誰だってみんな寝起きはイケてないですから! 私だって寝起きは頭ボサボサですし!」



タオルケット越しから必死にフォローする声が聞こえる。

あぁ、俺は後輩の女の子に何てことを言わせているんだ。先輩失格じゃん……。



「だってよ。俺も同じだから気にすんな。ほら、ありのままの姿を見せてやれ」

「ギャーーッ‼」



タオルケットを剥ぎ取られ、断末魔の叫びのような悲鳴を上げた。


バカ景斗! まだ心の準備もできてないのに!
もう許さない……っ!



「お前が雪塚さんを好きって本人にバラしてやる……!」



枕元に置いていたスマホを手に取り、間髪を入れずに連絡先のアプリを開く。

電話しようかと思ったけど、まだ7時台で起きていない可能性もあったのでメッセージを送ることにした。