褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

数回深呼吸をして心臓を落ち着かせ、仲良く並ぶ2人の後ろを歩く。

……ん? このルートはまさか……。



「ねぇ、もしかして家に向かってる?」

「あぁ。最初はどっかの公園に行こうかなって思ってたけど、お前が日焼け気にしてるみたいだから室内のほうがいいかなって」



そんな……!
まだ先輩と会って2回目なのに家に呼んじゃう⁉

その前に、お母さんに連絡しなくていいの⁉


「日焼け防止」なんて言った数分前の自分をひっぱたきたい。

とりあえず電話しないと……。



「あ、今日お母さん、友達と昼飯食いに行くって言ってたから電話しなくて大丈夫だぞ」



スマホ画面の発信ボタンを押そうとした瞬間、兄が私のスマホをひょいと取り上げた。



「うわっ、お前待ち受けまで絵なのかよ。本当に好きなんだな」

「ちょっ、返してよ!」

「そうだ、せっかくだから東馬の連絡先登録しとこ。東馬、いい?」

「おぅ……いいよ」



嘘でしょ……⁉
もう1度言うけど、まだ先輩と会って2回目だよ⁉

っていうか、どうして先輩もオッケーするの⁉