褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

「お母さん達、渋滞に巻き込まれて帰り遅くなるって」

「あ、そう」



そうだ、今お盆休みだった。帰省する習慣がないからすっかり忘れてた。



「それで、先に俺達だけでご飯食べに行こうって話してたんだけど……実玖と雪塚さんも一緒に行く?」

「行く行く!」

「えっ、時間大丈夫ですか?」

「平気。帰ってもまだ誰もいないし」



話を耳にした雪塚先輩がすかさず声を上げた。
壁にかかっている時計をチラッと見る。

わ、もう6時過ぎてたんだ。日が長いから全然気がつかなかった。



「実玖も早く準備しろ」

「あっ、うんっ」



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──


本日2回目のファミレスに到着。

昼間と同様に少し混んではいたものの、またも運良くスムーズに座れた。


今日はなんかツイてるな。



「そういや、今お盆だったな」

「忘れてたの?」

「だって俺んち帰省する習慣がないから」



目の前で話す兄と西尾先輩の会話を聞き、周りを見渡す。

親子連れはもちろん、おじいちゃんおばあちゃんと一緒にご飯を食べている子どもの姿が多い。