褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません


しばらく談笑した後、雪塚先輩を自分の部屋に招き入れた。

床に座り、ファッション雑誌を読む。



「この服実玖ちゃんに似合いそう!」



テンション高めで雪塚先輩が指差したのは、紺色のギンガムチェックのワンピース。

この系統の服は、天使とか妖精のような可愛い女の子にしか似合わなさそうな服だ。



「に、似合いますかね?」

「うん! 丈長めでゆとりあるし、肌の露出も少ないから着やすいと思うよ!」



ここ最近は、体型をカバーできる服よりも好きな服を着るようにしている。

だけど……肌の露出が多いこの季節だけは、どうしても体のラインが隠れる服に目が行きがち。


小中学校の水泳の授業を思い出す。

毎年クラスメイトからの視線を浴びたっけ。
水泳の授業がない高校に行って本当に良かった。



──女子会を楽しむこと数時間。



「実玖、ちょっといい?」

「はーい、何?」



ドアを開けると、そこにはオフモード姿の兄ではなく、髪型と服装をバチバチにキメた兄が立っていた。


手にはスマホとお財布。

これからどこかに出かけるのだろうか。