褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

「私は……家族を大切にする、優しい人が好きです」



消え入りそうな声で答えた。

あぁ……恥ずかしい……。
今絶対顔真っ赤になってるよ……。

火照った顔を隠すように下を向く。



「「可愛い……」」



ポツリと聞こえたハモった声。

顔を上げたと同時に雪塚先輩がガバッと抱きついてきた。



「も~! 実玖ちゃん可愛すぎ! お嫁さんに欲しいくらいだよ~!」

「えっ、よ、嫁……⁉」



香ってくる石鹸の匂いに包まれながら整理する。

さっきの声が雪塚先輩だとすると、もう1人は……。



「東馬くん? その顔はどうしたのかな?」

「うるせぇ……」



視線を移した先には、なぜか頬を赤く染めた西尾先輩の姿が。

そんな彼を兄は楽しそうにからかっている。


なんで先輩が照れてるの?
っていうか、お兄ちゃんもどうした?

いつもは、「またお世辞言いやがって」って怒るのに。


まさか、また先輩に何か吹き込んだ……?


頭の中に大量のハテナマークを浮かべて考えるも、答えを導き出せなかった。