「俺は……包容力があって、笑顔が可愛い人がいいな」
さっきまで呆然としていた兄が先に口を開いた。
もう顔に、「目の前にいる人が好き」って書いてある。
こんなデレデレしてるお兄ちゃんが、学校でイケメンって言われてるなんて信じられない……。
デレデレしている兄にドン引きしていると。
「俺は……素の自分を出せる人かな」
少し考えたような様子で西尾先輩が呟いた。
「それだけ? 他には? 顔の系統とか、スタイルとか」
「ない! 俺の経験上、やっぱりありのままの自分を出せる人が1番!」
経験上ってことは……交際経験があるのかな。
だよね。中学時代から学校のアイドルって言われてたんだし。
女の子とも仲良しだから、誰かと付き合ったことぐらい……あるよね。
「実玖ちゃんの好きなタイプも教えて?」
「えっ?」
黙り込んでいると、再び西尾先輩が話を振ってきた。
この流れだと、自分にも回ってくるんだろうなとは思ってはいたけど……。
「あっ……その……」
先輩の優しい眼差しに一気に心拍数が上がる。
落ち着け。好きなタイプを言うだけ。
好きな人を言うわけじゃないんだから大丈夫だ。



