褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

兄の真後ろを歩き、先輩の元へ向かう。



「待たせたなーって、なんで隠れてるんだ!」

「ひ、日焼け防止……」

「俺を日除けにするな!」



怒っている兄の背中に必死にしがみつく。


俯いていると肩をポンポンと叩かれ、少し見上げるようにゆっくり横を見る。



「こんにちは実玖ちゃん! 久しぶり!」

「お、お久しぶりです……」



三日月の形の目と視線を合わせ、か細い声で挨拶した。


初めて会った時と変わらない優しい顔で、私の目を真っ直ぐ見つめている。


ダメだ、これ以上見つめられたら……。



「おい! 俺がいる前で見つめ合うな!」

「ごめんごめん。そんなに怒るなよ、妬いてるのか~?」

「妬いてねーよ!」



兄の怒る声でハッと我に返った。


助かった……。

いい加減男性に慣れないといけないのはわかってるんだけど……まだちょっと怖いなぁ。