褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

「ほら、帰るぞ」

「ちょっと景斗さん! 今日実玖は私と帰る予定なんです!」



私の腕を掴んで帰ろうとする兄を可南子が引き止めるも……。



「ごめんね。今日は大事な用があるんだ。また今度誘ってあげて?」

「あっ……はい」



可南子! どうしてそこで折れちゃうの……!

大事な用なんて、あったら事前に連絡するはず!



「用事なんて嘘でしょ! あったらさっき言ってたはずだよ!」

「急用なんだよ。東馬がお前に会いたいって言ってきたから」

「ええっ⁉」



周りの注目を浴びながら教室を出る。

西尾先輩が……⁉ どういうこと⁉



「お前さ、対面式で目合ったのに逸らしただろ。手も振ったのに」

「ごめん、緊張してたから……」



家に着く前に怒られちゃった。

西尾先輩も怒ってるかな……。


ビクビクしながら外へ出ると、既に先輩が校門で待っていた。



「おーい! 東馬ー!」



兄の声に気づいた先輩が手を振ってきた。


顔を合わせるのが怖い。

「目合ったのになんで無視したの?」なんて言われたらどうしよう。