褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

『平和ボケしやがって』

『お前も、お前の兄貴もムカつくんだよ』



呆然とする私に容赦なく暴言を吐いて去っていった。

後で聞いた話によると、小山先輩は平和な家庭環境の私達とは違って、複雑な家庭環境だったらしい。



「その日、頭真っ白で、どうやって帰ったか覚えていないんです。ただ……家に着いて兄の顔を見た途端、涙が溢れてきて……」

「『小山先輩に言われた』って言わなかったの?」

「はい。頭に血が上ってて、『一発ぶん殴ってやる‼』って言い出したので……」
 


年甲斐もなく泣きつき、嘘の告白をされたことと、侮辱されてフラれたことを伝えたら、本当に殴りに行きそうなくらい激怒して。

名前を出したら、再会しても関係が修復できなくなると思って言えなかった。


犬猿の仲になってしまったのか、彼の転校後、兄の口から彼の名前を耳にすることはなくなり。

私はというと、裏切られたショックで男子に恐怖を感じるようになり、引っ込み思案になってしまった。



「巻き込んでしまって本当にごめんなさい」



当時の私は未熟で、彼がどんな気持ちで私達と関わっていたかなんて考えたこともなかった。

自分でも気づかないうちに酷いことを口にしてしまっていたのだろうか。