褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

震えが収まった手でスカートを握りしめ、口を開く。



「さっきの人、小山先輩っていって……中学の先輩だったんです」



3年前。

中学の入学式を終えて帰宅した時、リビングに兄の友達が数人遊びに来ていて、みんなでテレビゲームをやっていた。


その時、真っ先に元気よく挨拶してくれたのが小山先輩だった。


それから兄を介して彼と仲良くなった私は、学校で一緒に勉強したり、休日に出かけたり。

彼が所属している部活の練習試合を観に行って楽しい時間を過ごした。



数ヶ月後──平和で楽しい日々を過ごしていたある日、突然事件は起きた。


12月。部活が休みの日の放課後。

家の鍵を忘れたのに気づき、貸してもらおうと部活中の兄の元へ向かった時だった。



『お前がシラケた顔してると士気が下がるんだよ!』

『うるせぇ! 副部長になれたからって偉そうに指図してんじゃねーよ!』



体育館で大声で言い争う姿を見てしまった。

実は、小山先輩も兄と同じバスケ部で、友達でもありライバルでもあった。



『練習に集中できないんなら部活に来んな!』

『黙れ! お前に何がわかるんだよ!』



3年生が引退して副部長になった兄。

「後輩のお手本にならないといけない」と責任を感じ、キツく当たってしまったのだろう。

部長らしき人に止められながら怒鳴っていた兄の表情が、今も脳裏に焼きついている。