褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

持っていた雑誌を棚に戻そうとすると、実玖ちゃんが「あ!」と声を上げた。



「私、この雑誌持ってます! さっき見てたんですか?」



俺が見ていたのは、女子中高生向けのファッション雑誌。

表紙には、青い海を背景に、ビビッドカラーの服を着たモデルさんが写っている。



「う、うん。読んでるの?」

「はい! いつもは流行チェックのために買ってるんですけど、今回は珍しく表紙に惹かれて買ったんですよ~!」



ニコニコしながら話す実玖ちゃん。

瞳にもきらめきが戻っている。



「そうなんだ……ありがとう」

「へ……?」



……やってしまった。

元気が戻ったと安心して、うっかり口を滑らせてしまった。


誤魔化そうと言い訳を考えるが、彼女の表情がますます怪しくなっていく。


先にお母さんのことを話そうかと思ってたけど……この際、全部話すか。



「実は、俺のお父さんカメラマンで……。その表紙、お父さんが撮ったんだ」

「ええっ……⁉」



周りに誰もいないのを確認し、耳元でこっそり呟いた。


母の職業を知っている人は多いものの、父の職業を知っている人はほとんどいない。

なぜなら父は、雑誌をはじめ、写真集や、誰もが知っている一流の芸能人の写真も撮っている。

そのため、タレントさん達の情報が流出しないよう内緒にしているのだ。