褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

父の気遣いに母の表情がパアッと明るくなった。

幻覚だろうか、2人の間にハートマークが飛び交っているように見える。


……今気づいた。

お父さんが着てるそのエプロン、俺がお母さんに母の日のプレゼントであげたやつじゃん……。


心配する息子をよそに、自分達の世界に入り込んでいる両親。

邪魔をしないよう、そっと部屋を出てリビングに戻った。



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翌週の月曜日。

登校中、学校の最寄り駅で電車から降りると、須川くんの姿を見つけた。

たわいもない話をしながら一緒に学校へ向かう。



「先輩の助言を意識するようにしたら、オシャレするのがすごく楽しくなりました!」

「お~、それは良かった」



あの時熱く語りすぎて、全員、しーん……ってなってたけど、須川くんの天然発言のおかげで、気まずい雰囲気にならずに済んだ。

こんないい子が俺のファンだなんて……。
俺、めちゃくちゃ幸せ者だな。



「あの助言、なんかすごくプロ意識を感じました。
もしかして……モデルの経験があるんですか?」