婚約者は不器用で優しい王子様


「泣いてませんよ!ごごっゴミが目に入ってこすっちゃっただけですよ!」

必死に言い訳をしているのがわかった

「擦っただけでは目はそんなに腫れない。」

しつこく聞いてみると、さらに泣き出してしまった。

どうして素直に泣いていたと言わなかったのだろうか…

どうして泣いていたんだ

「謝って欲しいわけじゃない。理由を説明しろ」

「怒りませんか?」


「時と場合によるな」

俺が怒るような事だったのか…

「えっ?…」

黙ってしまったので仕方ない

「分かった。怒らないから話してくれ」

そう言うと素直に話してくれた

「玄関で無視されたのがすこーしだけ悲しくて…嫌われちゃったのかなとか、追い出させないかなって心配になっちゃって………」


無視した事が悲しくて泣いていたのか…

媚びを売ってるなんて考えていた自分が恥ずかしくなっていた

早く泣きやんで欲しくて、自分の素直な気持ちをわかって欲しくて…

いつの間にか思っていることを全て話していた