婚約者は不器用で優しい王子様


15時頃になって、本邸に忘れ物があったので1度取りに帰った

「由美さん。本邸に忘れ物しちゃったから取りに行ってきます」

「はーい、わかりました。今日の夕食は肉じゃがですよ」

「ありがとうございます。」

本邸に行くと

洋服を忘れただけなのにわざわざ紙袋に入れて、高そうなお菓子まで渡してきた

めずらしくこの時間に本邸に両親がいるというので、挨拶をして家に帰った

家の近所まで来た頃には18時で丁度夕食の時間だった

家に入るとあの女がいた

「なっ那月さん。おかえりなさい、です」

と言ってきた

新婚気取ってるのか?

全くどいつもこいつも大手の財閥だからって媚びを売ってくる

でもおかえりって言われてたの初めてかも

胸の奥がキュってなる

えーとこういう時は…

もーわかんねぇーな

って別に答える必要なんてないか

俺はその声を無視して家の中に入っていた

由美さんに荷物を部屋の前に置くように頼んで夕食を食べるため椅子に座る

あいつは食わなねぇーのかな


「坊ちゃん、さっき雅さんに夕食ですよって伝えたらどうやら泣いてるみたいなんですよ
夕食は雅さんも作ってくれたのよ
お礼も兼ねて見に行ってあげてくれない?」

えっ

泣いてる?

なんでだ

またいつもの女のようにかまって欲しいのか?


って
どうしても自分で悪い方向に考えてしまう